
組織のホスピタリティマネジメントがなかなか上手くいかないとお悩みの方。
普段、あなたのお店に主人(店主)は居るでしょうか?
お店がホスピタリティ溢れる「場」になるためには、「主」の存在が必要なのです。
<ホスピタリティを行うことで主人と呼ばれる>
なぜ主が必要なのか?
私の幼なじみで哲学的な視点からホスピタリティを研究している
大正大学の瀧本往人さんは
デリダやイリイチと言った哲学者の研究から
ホスピタリティ3つの特徴をあげています
①ホスピタリティの基幹には主人と客人がおり、
主人が客人を歓待するという構図になる
②主人というものが成立するのはホスピタリティを通してである
むしろ客を歓待して初めて主人と命名される
歓待を行うことで自分が主人であることを再確認する
歓待することは主人の証である
③客と敵は同義語である
歓待される客とは、自分と近しくない人間であり
無差別かつ積極的に招き入れることに歓待の真髄がある
(③の詳細に関しては、また別のブログで書きたいと思います。)
このように学術的にも「主人」の存在が
ホスピタリティを実現する鍵となるのです。
<人気になると店主不在となるラーメン店>
先日久々に札幌の人気ラーメン店Aへ行きました
ここの主人は、いつもラーメンを作りながら客一人一人の顔を見て、
現場で何が起きているかを把握していたのです。
しかし、人気店となり、3店舗支店ができたからか
前までは必ず居た店主の姿はありません。
味は以前と変わらず美味しいものでした。
しかし、場の落ち着きというか、以前より居心地が悪いのです
追加でライスを頼みました。
スタッフは「あ、ライス切れてしまって…」で終わってしまいました
以前のように店主が居たらきっと
「いや〜ごめんなさい、午前中からたくさん出てしまって切れちゃったんです、申し訳ない!」
とホントに申し訳ない顔で言っただろうなと思いながら店を出ました
もう一軒好きだったBという有名ラーメン店も、人気が出て支店を作ると
主人がほとんど不在となり、オペレーションが乱れ
オーダー間違いが多発し場所としてのホスピタリティが低下、
そして味も低下したため足が遠のいたことがあります
その後ほどなくして支店はなくなり、またほとんど主人が居るようになり、また通い始めました
札幌味噌ラーメンを代表する、超人気店の「彩未」という店があります
ここのご主人は、どんなに人気店になっても支店も作らず(弟子の暖簾分けはありますが)
常に厨房に立ち続けます。
ラーメンを作りながら、店内の全てを見つめています
そのせいか、
スタッフ全員が素晴らしく連携されたオペレーションで
どんなに並んでいても、客は誰も不満を持たないのです
<現場に立ち続けることで、見えた課題>
自分自身百貨店からホテルに転職し副支配人になったころ
アンケートの低評価に悩んだ日々が続きました
そこで常に現場で立ち続けることにしたのです。
フロントでは、笑顔が不足していたので笑顔のトレーニングを行い
レストランではお客様のご案内不足から
マニュアルの不備に気づきスタッフと一緒に作成を行い
すると、その結果アンケート評価は3ヶ月後一気に急上昇したのです
サービスとは万人に均一の満足を提供することです。
ゆえにサービスの世界は商品が中心です
部下が全く同じ味のラーメンが作ることができて、
マニュアル通りの接客ができれば完成です
しかしホスピタリティとは、主人と客人の関係性をより良くマネジメントする行為です。
関係性をよくする為には物理的環境も人間の心理に深く影響します。
ホスピタリティは商品のみならず「場」が重要なのです
現在のサービス業では、主人が居ないケースが多いと思います。
しかし、そういったお店で、ホスピタリティを提供し固定化するのはとても難しいのです。
他のスタッフが主人と同じレベルの考え方行動になるまでは、主人が現場に立つことから始めましょう。
ホスピタリティにおいて「主人」の存在はとても重要なのです
*ホスピタリティについて、拙著「おもてなしを売上に変える技術」に詳しく書かれています。
ご興味をお持ちの方は、是非お読みください!!