今回は改めて「ホスピタリティ」と「サービス」の違い、についてです。
何故なら、私のHPやブログに辿り着いた検索キーワードを見ると、「ホスピタリティとサービスの違い」が圧倒的に多いのです。
ということで、以前にも書きましたが、新年(もうすぐ2月ですが)を迎えたのを機に、再度詳細にお伝えしたいと思います。
よく「ホスピタリティセミナー」と称されているものに行くと、
「ホスピタリティの語源は<Hospitalis>で、意味は<歓待する>なんです。だからホスピタリティとは、<心からのサービス=おもてなし>をすることなんですよ。それではお客様に対して、心を表現するために、正しいお辞儀の角度の練習から始めましょう。」という具合に教えています。
この考えは、「ホスピタリティは、サービスという概念の一部」という考え方から来ています。
ホスピタリティはサービスの一要素という考えですね。
かなり大きな研修会社でも、著名な講師でも、ほぼ100%の確率で未だにそう教えています。
はっきり言って、これは大きな間違いです。
こういった研修やセミナーを、企業や自治体や個人が真に受けていたら、いつまで経っても日本がホスピタリティレベルが高い国と評価されることは無いでしょう。
「ホスピタリティ」と「サービス」は全く違う概念です。
ホスピタリティを「概念」として解き明かしているのは、殆どが近代の(ヨーロッパを中心とした)哲学者達です。
その哲学者達が解き明かしたホスピタリティに対する、共通の概念の一つに「客と敵は同義語である」があります。
実はホスピタリティの語源はHostis=敵なのです。
これが後にHospitalisやHotel等派生語に変化していくのです。
何故「敵」が「客」と同義語なのでしょうか?
ホスピタリティの始まりは異民族同士が殺戮と侵略を繰り返していた紀元前、本来敵である異民族の家に行き、「主人を殺しません」と宣言し、主人はその宣誓を信じ、共同体を訪れた敵である異民族を迎えいれました。そして、飲食や宿泊することで歓待したのが「ホスピタリティ」の始まりなのです。
ポイントは「知人」や「友人」では無く、危害を加える可能性もある「敵」「異人」を歓待するということなのです。
(「サービス」と「ホスピタリティ」の違い②に続く)

北海道観光振興機構のお仕事で、知床ウトロ地区にてホスピタリティセミナーを行ってきました。
残念ながら、今年は流氷の南下が遅く、見ることが出来ませんでした。
代わりに、ホテルで飼育されているクリオネを見て満足です。