「おもてなし」と「ホスピタリティ」の違い③

①②と読んで頂けると、「おもてなし」を「ホスピタリティ」と単純に英語で訳されることに違和感を感じませんか?
ということは、当然外国人観光客が考える「ホスピタリティ」と現在日本人の考える「おもてなし」にはギャップがあると理解するべきです。

只,私は「ホスピタリティ」と「おもてなし」の言葉上の優劣を言いたいのではありません。

 

 一番の問題は、どちらの言葉も日本ではきちんと定義されずに、論じられていることだと思います。

 

 

 

 

 私は研修やセミナーの度、受講者に対して「ホスピタリティの定義とは何ですか?」「おもてなしとは何ですか?」と必ず訊きます。
しかし、ほとんどの方が残念ながら曖昧にしか答えられません。

きちんと言語化できないのに、どうして具体的な行動をすることができるでしょう?

 

石川県和倉温泉の老舗 加賀屋さんでは、おもてなしを「お客様が求めていることを、求められる前に提供すること」と定義しているそうです。(まさに本来のホスピタリティの定義です)

その為に作業レベルで様々な工夫を行い、その分客との対話になるべく沢山の時間を費やすのです。

 

組織としておもてなしを明確に定義しているからこそ、長い間おもてなしNo1の宿として評価されているのではないのでしょうか?

 

もう一つ例をあげると、数年前に国の観光ビジョン構想会議メンバーでもあるデービッドアトキンソンさんが「おもてなしはコンテンツではない」と発言しています。(そして日本の観光振興ビジョンから「おもてなし」という言葉が消えました)

 

しかし、アトキンソンさんが主張している、日本のおもてなしの問題点とあるべき姿とは…

 

・見返りを求めない無償の行為である
  →対価を貰えるだけの高品質なものにするべき

・外国人はこうだろうと思い込み、自分に都合良く解釈したマニュアル行為を押し付けている
  →相手が何を求めているか耳を傾け、考えて柔軟に対応すべき

 この2点です。

 

これもやはり、本来の「ホスピタリティ」という定義での必要性を訴えているのです。

 そりゃそうです。

「おもてなし」は英語で「ホスピタリティ」と訳されているのですから…。

 

以上から、私の提案2点です。
一点目は、もし「おもてなし」や「ホスピタリティ」を向上させようと考えているなら、まず自組織において言葉の定義付けから行って欲しいのです。 

 

二点目、茶の湯等にも通じる日本古来の「おもてなし」とは、「あなたをおもてなしします」とお客様へ言った途端に「おもてなし」ではなくなります。(これも「ホスピタリティ」と同じ定義です)

だから、「我々はお客様をおもてなしします」、「ホスピタリティ活動を行っています」等と顧客に訴求しない方が良いのです。

 

「あなたをおもてなしします」と宣言すると、その時点から誰にでも平等に提供されるもの=「サービス」に変化します。

(なので今多く行われている、インバウンド対応のWi-Fiや多言語化したインフォメーションの充実なんかは、「おもてなし」では無く「サービス」のインフラ整備なのです)

 

親しい人が自宅に遊びへ来るとき、皆さんは「あなたをおもてなししますね」「ご馳走出しますね」と決して言わない筈です。

「あなたをおもてなしします」と言わた途端、押しつけ感を受けます。

上から目線にも感じます。

 

これが「おもてなし」をします、と言われた時に感じる違和感の原因です。

 だいたい「笑顔で接客します」と書いてある店に限って笑顔がありません。

 

この2点を理解して、活動することから本当の意味での「おもてなし」を向上させることになるのです。

 

 *1月は東京〜小田原〜箱根を、一人で廻ってきました。

写真は箱根湯元の有名なお蕎麦屋「はつ花」さんの自然薯蕎麦です。

15年ぶりに食べましたが、相変わらずの美味しさです。

これからブログで少しづつUPしていきます。

 

*詳細は拙著「おもてなしを売上に変える技術」に詳しく書かれています。

是非お読みください!!