
<現代の商売において「共感」は必須!>
最近起きた事象をもとに
現在のビジネスで必須である
「共感」
の重要性について考えます
<終了直後の炎上>
SNSで大きな話題となった「100日後に死ぬワニ」がついに100日目の最終回を迎えました。
最後の内容も色々深読みができる素晴らしいもので、
SNSでも感動の声があがります。
作者は作品の意図として
「生きているということはいつか死ぬということ。
自分の『終わり』や周りの人の『終わり』それを意識すると、
行動や生き方がより良い方向にいくのではないか。
ワニを通してそれらを考えるきっかけにでもなればいいなと思っています」
と語りました。
普段意識しない「死」を提示することで、
普段の何気ない生活も尊い大切なものである。
素晴らしいテーマですね。
大きな話題となった理由は、
このテーマに皆「共感」したのです。
しかし、絶賛される一方
グッズ販売や書籍化、映画化が終了直後に発表され
SNSで炎上しています。
最終回までどんどん共感が深まり、
一部のファンが喪に服すまでの行動へ出るほどになったのに
死の直後急にお金儲けが表面化することで
「共感」が一気に離れたのだと思います。
もちろんマネタイズは重要なことで
非難している人達だって、その事自体理解していると思います。
これが一週間や一ヶ月後くらいの発表だったら、どうだったでしょうか
おそらくこれ程、非難される状況にはならなかったかもしれません。
社会環境が激変しお葬式やお墓のスタイルが変わっても
死生観というのは変わらないという調査も出ています
我々にとってやはり死は特別なものなのです。
死をテーマにして共感を得たのですが
死生観を無視したマーケティングをしたため
ファンの共感が離れたというのが私の意見です。
<共感が離れた社長の張り紙>
いきなりステーキは立ち食いで回転率を上げることで
高質な肉を安価に食べられるというのが消費者の「共感」を呼び大ヒットしました
しかし値上げや類似競合店の出現、急激な大量出店による自社競合などが原因で
いきなりステーキがいきなり大不振となります
そこで社長が直接、異例の「お客様へお願い」という張り紙をしました
その内容は…
「お客様のご来店が減少しております。
このままではお近くの店を閉めることになります。
是非来店してください」
という、ストレートなものでした
このメッセージ批判的な声も多かったのですが、
それにもかかわらず、なんと三回も行われたのです
その後の内容もお客様視点ではなく
自分たちの都合に終始しました。
しかし社長はTVにも出演し
同じような主張を繰り返します
例えば、客の価格が高いという意見には
「ウチの肉は原価率が高いものを提供している、だからお得なんだ」
といった具合です。
しかし値段が高いというのはお客様の声です
原価率が高いからお得…という答えは
自分たちの都合であり
お客様には関係ないことです
結果、この張り紙やメデイアでの組織トップの発信は
顧客の共感が離れる決定的なものとなりました。
結果、現在74店という大量閉店の状態に追い込まれています。
<何故「共感」が重要になったのか>
「舌や香りだけではなく、他者の情報から美味しさを感じる」という話をしました
実はその秘密も共感にあります
京都大学の今井教授によると
初期人類→現生人類へ進化する過程で
脳の前頭葉が肥大し共感中枢が発達したそうです
理由として
人類は他の動物より弱い生き物
そのため集団で活動するようになりました
集団で活動するには食料品の確保が最重要
そのため自分と違う味覚の仲間と
食べ物を共有することが重要になったのです。
集団で生き抜くために
仲間が美味しそうなものを食べているのを見ると
共感中枢が働いて
仲間が食べている=きっと食べる価値がある=美味しい食べ物
と判断するようになったのです。
人類はこうして仲間と美味しい食べ物を
共有し拡散するようになっていきました。
そうです
「共感」は人類が獲得し強化した能力なのです。
だから現在、知人友人からの情報や口コミサイトを活用してまで
美味しい食べ物を追い求めるようになったのも本能だからなのです。
<共感離れを防ぐ2つのチェックポイント>
顧客の共感離れが起きていないか、
確認するには下記の2点のチェックが必要です。
①経営者の強い思いを語っているか?
その思いは顧客視点になっていますか?
②商品にはストーリーがあるか?
そのストーリーにペルソナは設定されていますか?
の2点です。
この2点を伝え続けることが重要なのです。