一蘭の「幸せ!」はホスピタリティの言葉なのか?

ラーメン 一蘭 ホスピタリティ
一蘭のラーメンメニューは1つのみ!

 

遂に北海道へ人気ラーメン店「一蘭」がやってきたのです。

ラーメン好きな私は、早速食べに行ってきました。

 

一蘭は、高収益企業として経済誌で幾度も取り上げられていますので、そのオペレーションも知りたかったですし。

 

最初に結果から言うと、

ラーメンは、一杯980円と少々値段はお高いですが、とても美味しいラーメンです。

オペレーション面を一言で表すとサービスの「機能的要素」面でCSを追求した店と言えるでしょう。

 

 

特徴的だったのは

 

①整理券の配布

②味集中カウンター

③スタッフとの低接触

 

の3点です。

 

①整理券の配布

きっと外まで行列だろうと思い、店に行ったら誰も並んでいないじゃないですか。

「?」と思い中に入ると整理券を配っていて、12時くらいにきてくださいという。

 

これはいいですね〜。

北海道のどんな人気ラーメン店でも行列させることがほとんど。

特に冬の北海道、屋外に長時間並ぶのは修行レベルです。

けどこれだと指定された時間まで有効活用ができます。

本州の人気ラーメン店は結構取り入れているのだけど、北海道ではほとんどやってないですよね。

ぜひ他の店も真似して欲しいオペレーションだと思いました。

 

②味集中カウンター

一蘭最大の特徴である、一人一人仕切られた「味集中カウンター」。

特許も取得しているとのこと。

 

周りの人を気にせず味覚に集中できる、そして副交感神経を優位にするための仕組みとHPには書かれています。

海外は禅的アプローチと分析されていました(笑)

 

ただ 確かに隣の人の顔は見えないけど、実際は距離が近いので意外と気になりますね(笑)

しかし女性一人でも気兼ねなく食べられるのは素晴らしいことだと思います。

複数で来店しても雑談が減り食べるスピードが上がるので、結果回転率があがるというのも理由らしいです。

 

 

③スタッフとの低接触

カウンターへの誘導はスタッフが対面で行っていましたが、カウンターへ座るとそれ以後スタッフと顔を合わせません

座ると厨房との隙間が正面の下部に少し開いており、そこへ食券とオーダー用紙を置きます。

するとスタッフがやってきて、オーダー用紙を持っていくのです。

顔は見えません。

 

と同時に開いていた空間に簾が降りて完全に遮断されます。

 

しばらくすると再び簾が開き、おまたせしましたと言ってラーメンが着丼されました。

また簾が降ります。

以後は呼び出しボタンを押さない限り、開きません。

 

サイレントカードというのも用意されていて、それを出すと声を発することなくやり取りできるのです。

ちょっとやりすぎの感もありますが…。

 

このように情緒的要素を徹底的に排除し機能的要素を最大に高めるシステムは、わずらわしさを嫌う人や一人では入りづらいと考える女性客などから絶大な支持を得られるのが理解できました。

ということで、ホスピタリティからは一番遠い店でもあります。 

 

言霊 言葉のおもてなし

しかし一点だけ気になったことがあります。

 

閉鎖されたカウンターの外から、スタッフの「っしゃいませ〜」「っしゃいませ〜」と言う声が聞こえていたのです。

 

最初「いらっしゃいませ」をラーメン店風に縮めて「っしゃいませ〜」と言っているとばかり思っていたのですが、カウンターの張り紙を見て判明しました。

 

お客様が来店したら「幸せ〜」と言っていたのです。

 

そこで改めて耳を澄まして聞くと、確かに「幸せ〜」「幸せ〜」と言っています

 

カウンターの張り紙には「言霊〜言葉のおもてなし」というタイトルで、お客様の幸せを願って言霊をお届けしていますと書かれていました。

 

 

いらっしゃいませの代わりに「幸せ〜!」そして帰るさいありがとうございますの代わりに「幸せを〜!!」と言っているそうです。

 

これにはちょっと違和感を感じました。

 

ポジティブな言葉をなるべく使うという意味はわかります。

 自分自身も積極的にポジティブな言葉を使っています。

 

しかし接客用語として考えると、説明書を読まないと理解できない言葉が、お客様に伝わるのか?ということです。

はっきり言って、お客様に伝わらない言葉に意味はありません

それを「言葉のおもてなし」と言われても自己満足でしかないでしょう。

 

「幸せを〜!」に至っては主語述語がないので、「お客様の幸せを祈ります」なのか、「自分が幸せを貰った」なのか 全く意味不明です

「お幸せに」であれば(結婚式のお祝いでくらいしか使いませんが)まだわかりますが…・

 

 HPを見ると社長の使命は

「幸せに満ち溢れた高い人間性を持つ人を育てる会社』を作る

ことだそうなので、お客様が来店されて「自分が幸せ!」で帰るさいは「自分が幸せをいただきました!」なのかもしれません 。

 

顔の見えないスタッフがあちこち棒読みのセリフで「幸せー!!」と叫ばれると、なにか宗教的なものさえ感じてしまいます(汗)

 そして途中からIKKOさんの「どんだけ~」にしか聞こえなくなったのは秘密です(笑)

 

 

「言葉のおもてなし〜言霊」ということであれば、せめて言葉の選択にもう少し拘って欲しかったな。

と思いながら美味しくラーメンを完食したのでした笑

 

*ホスピタリティについて、拙著「おもてなしを売上に変える技術」に詳しく書かれています。

ご興味をお持ちの方は、是非お読みください!!