
こんな御時世なので、明るい話題を。
「情けは人の為ならず」ということわざがあります。
このことわざ、現在は「情けをかけるとその人の為に良くない」と、誤用されがちです。
しかし、本来の意味は、「他人に親切な行動をすることは、結局自分に良い報いが返ってくる」という意味です。
利他的行動=ホスピタリティは自分のためにもなる。
それが科学的に証明されたのです。
ヒューストン大学のラッド博士らの研究によると、他者のためによいことをすると、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌量が増加することが明らかになっています。
気分が良くなってストレスが軽減され、不安が減ってうつが改善することがわかってきたのです。
さらに今年(2020年)の「米国科学アカデミー紀要」に発表された論文では、自発的な利他的行為が、実際に肉体的な痛みを減らし、目的意識を向上させることもあることがわかったとのこと。
痛みに反応する脳の部位が、利他的行為により不活発になるらしいのです。
脳科学者の茂木健一郎氏も、利他的行動をしていると「報酬系」と呼ばれる部位が活発に活動し、「意欲」「快感」といった感情を促すドーパミンが放出されることが分かったと言います。(PHP研究所「加賀屋さんに教わったおもてなし脳」より)
これは自己が生き残るのが最優先=「生物は利己的である」、という考え方であった科学会では大変不思議なことだったそうです。
だから今迄は他人の喜ぶことを一生懸命することを、無理強いされた感の強いセルヴィタス(隷属)を語源とする「サービス」と呼んだのかもしれません。
しかし、そうではなく利他的行動=ホスピタリティを行うことで、本当に脳が喜んでいる。
ホスピタリティを行うことで、自分自身の幸福感が溢れ肉体的な痛みを減らすことを実感する。
これらが科学的に証明されたのです。
ホスピタリティ企業と呼ばれている会社は、スタッフにこれらを繰り返し体験してもらうことで、自らが幸せな気持ちになり、指示されずともスタッフ自らが更に良いホスピタリティを行う、好循環になっているのです。
私はその前提として、利他的行動が可能になるスキルの教育が必要だと思います。
逆にホスピタリティができない企業は、利他的行動がとれるスキルを教育できているでしょうか?
確認してみてください。
なぜなら利他的行動は具体的であるほど、ドーパミンやオキトシンの分泌が促され、達成したときの幸福度も向上すると分かっているからです。
そしてOJTなどで、実際にドーパミンやオキトシンが分泌される状態を、繰り返し体験してもらっているでしょうか?
是非、利他的行動=ホスピタリティは人の為ならずを体験してもらってください。
*ホスピタリティについて、拙著「おもてなしを売上に変える技術」に詳しく書かれています。
ご興味をお持ちの方は、是非お読みください!!