
NHKの100分で名著「資本論」が面白かったのです。
特に第三回の「イノベーションがクソどうでもいい仕事を生む」は鮮烈で、
何故ホスピタリティを実践するのが困難なのか?を教えてくれます。
キーワードは労働における
「構想」と「実行」の「分離」
だと言います。
構想とは計画を練ることであり(精神的労働)
実行は商品を作り上げること(肉体的労働)
番組では、例として土鍋職人をあげています。
職人はどんな土鍋にするか、耐久性やどんなデザインにしようか考えて(構想)
それを実際に手を使って土を捏ね、形成し焼いて作り上げます(実行)
しかし、職人仕事では資本家が望んでいるコストで、望んでいる量を作ることができません。
より安く沢山生産して市場で勝ち、利益を増やすことができないのです。
そこで資本家は職人の経験や勘を分析し細分化して、
労働者に分業させることにしました。
マニュアル化して単純作業にさせることで、
素人でも作ることが可能になり、生産性が向上します。
例は製造業でしたが、現代のサービス業でも全く同様なことが発生します。
マニュアルさえあれば、誰でもできるし誰にでも均一的なサービスを提供できるのです。
問題は構想の機会を奪われ、分業の中でコマの一つとして働くことは、
いつまでたっても「実行」に必要なスキルも蓄積されないということです。
素人なので職人のように口答えもしません。
この分離はイノベーションにより先鋭化するのだそうです。
更に資本家は人間が機械のペースに合わせるように仕組み化します。
番組では資本主義におけるAIやロボットなどイノベーションは
労働者を重労働や複雑な仕事から開放するためではなく、
労働者を効率的に支配し管理するための技術なのです。
そんな中では仕事における何かを生み出す喜びも、達成感も無い。
だから仕事はよりつまらなくなります。
マルクスはこの状況を打破するためには、労働における
構想と実行の統一を目指し自律性を取り戻すべきと主張します。
ホスピタリティマネジメントが目指すところは
全スタッフが「目の前の顧客に対して、何を求めているのか自分で考え自分で行動すること」 を
組織で可能にすること。
まさに構想と実行を統一させることです。
これを理解せずホスピタリティを行おうとすると、
頓珍漢なマネジメントになってしまいます。
150年前に書かれた「資本論」、今だから理解すべきだと思いました。
テキスト買ってしまいました。