
<新しい価値>
前回お伝えした、私の作ったオリジナルサイズのカーテンは、
ニトリさんが多サイズ展開を始めると全く売れなくなりました。
ニトリさんの膨大な品揃えに対しコチラは3柄程度ですから当たり前です。
モノだけの価値は類似品が出てきた時点で価値は減少していきます。
そこで、地域資源を商品化する際、「こだわり」を加えていわゆる「付加価値」をプラスするのです。
しかしこの「こだわり」も価値になりづらくなっていませんか?
例えば「北海道 こだわり チーズ」で検索すると膨大な数がヒットします。
そこで「新しい価値」に気づくチカラが必要になります。
真冬に売っている十勝マンゴー「白銀の太陽」という1個3万円のマンゴーがあります。
夏は雪を利用して温度を下げ冬と勘違いさせ開花、冬は温泉の熱で身を熟すという季節を逆にする世界でも珍しい栽培方法で生産されています。
この時の価値はなんですか?
マンゴーのメインは宮崎県産です。
しかし宮崎県産は真冬には販売されていないのです。
真冬に販売することで、高級マンゴーがXmasや年末年始のパーティーやギフト等の需要に答えることができるという新しい価値が生まれたのです。
またNHKのプロフェッショナルでも取り上げられた北海道砂川市のいわた書店の1万円選書
常時3千人が待っていると言われています。
購入者にアンケートを書いてもらい、パーソナリティを知ることでその人に合った最適な本を選んで送付する
「プロが選んでくれる」という新しい価値を作りました。
<マーケティング理論>
このような新しい価値に気づくチカラを得るのに参考となるのが
フィリップ・コトラーのマーケティング理論です。
ここではその変遷を簡単に説明します。
①マーケティング1.0 (1900~60年代)
一言で言うと…製品開発にポイントが置かれたマーケティングです。
産業革命により製品を安く大量に作り、大量に販売するためかんがえられたもの。
主導権は売り手側にありました
今ではお馴染み、4P分析(Product、price、Place、promotion)のフレームワークが確立しました。
②マーケティング2.0 (70~80年代)
一言で言うと…消費者志向のマーケティングです
オイルショックをキッカケに、冷え込んだ消費を喚起するため生まれました
ですから主導権は買い手です。
大量生産で均一化されていた商品は差別化を余儀なくされ、顧客満足の追求することになりました
そのため「Segmentation (セグメント)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」STP戦略が必要となったのです。
③マーケティング3.0 (90~2000年代)
一言で言うと…価値主導のマーケティングです
インターネット〜ソーシャルメディアの発達によって発展しました。
生産者と消費者が繋がり共創することで新しい価値を生み「世界をより良くする」ことが目的となりました
ですから商品以外の価値訴求、例えばCSR(社会的責任)等も重要なファクターとなった のです
④マーケティング4.0 (2010年代~)
一言で言うと…Share志向のマーケティングです。
社会を楽しく、感動的にすることを目的に生まれました。
マーケティング3.0の補完という意味合いが強いです。
SNSがさらに発達することで、あっという間に情報が全世界の消費者に広がり、生産者と直接繋がるようになりました
そこで自己実現、WOW!(驚き・感動体験)といった価値提供を作ることでSNSによる「共感」を広げ、
顧客をファン化、SNSで他の人へ推奨してもらうことが目的です。
現在はマーケティング4.0が進行中ですが、実際はほとんどの企業が3.0で足踏みしています。
STARBUCKSでさえ、3.0で留まっています。(個人の感想です)
最近GUや無印良品でジェンダーレスな服が積極的に販売されています。
菅公学生服ではジェンダーレスな学生服も販売されました。
こういった動きは3.0〜4.0を包含したマーケティングといえるでしょう。
このマーケティング理論を理解すると、「SNSでつながれば売れる」といった高額なマーケティングセミナーに参加しなくてもすみますよ。元ネタはここですから。
これは真理です。伝わっていますか?(爆
確かに3.0以降は交換パラダイムから関係性パラダイムに変化しています。
しかし逆に「つながれさえすれば売れる」と言っている考え方の問題点があります
このマーケティング理論の進化は、各バージョンで終わっているわけではなく、
受け継ぎながら進化しているので各々のマーケティング理論のバージョンが矛盾するものではないのです。
だから商品自体の価値も考えないと意味ないのです。
次④へ続きます。
これで年内の更新は終了です。
皆様、大変お世話になりました。
良いお年をお迎えください!