
天塩町の「かわまちづくり検討委員会」の取り組みについて、6月にブログへ書いたきりだったので進捗状況を記しておきたいと思います。
この1年半毎月2回、往復8時間を掛けて町を訪れ、住民の皆さんとこれからのあるべき姿を話し合って来ました。新聞などに取り上げられることも多くなり、参加人数も大幅に増え、大いに盛り上がっています。
そして、ひとまずの目的である、話合いのエキスを濃縮した「観光振興ビジョン」もほぼ完成しました。
しかし、問題はここからなのです。
このビジョンを住民の皆さんの手で、どう実現するかなのです。
恐らく次年度からは、我々も今までのように濃密な関与は出来なくなります(3ヶ月に1度程度?)。
ですから、早く住民同士の繋がりを強固にして、持続可能な自律型コミュニティを作らねばなりません(一部は出来てきているのですが)。
一般的な住民協働まちづくりは、「補助金の切れ目が縁の切れ目」とばかり、お金が出なくなると萎んでいきます。
役場の人事異動も強く影響します。住民の方とのハイコンテクスト(背景や前後の文脈を良く理解すること)な状態を保つことが難しくなります。
実際、話合いで方向性が出ていたにも関わらず、全く違う考え方で行われている事業もよく見られます。新しいことを実現しようとすると「前例が無いから」の一言で葬り去られるのです。
そして何と言っても首長の考え方とリーダーシップが大きく影響します。そうでなくては、議会すら納得させることが出来ません。と言うより、地方自治体では、「議会の為に」が目的になっていることも多々あります。
そういう意味では、まだ何をも成し得ていないのです。
しかし、その心配を吹き飛ばすようなことが起き始めています。
主役は転勤で天塩町にやって来たばかりの、神戸出身の一人の若い女性です。
天塩町へ来たばかりの時は憂鬱で仕事を辞めようとまで思っていたそうです。
しかし、自らドンドン街の素晴らしさを見つけ出し、街を好きになって、更に良くしようと考えて行動しています。
それも物凄いスピードで、です。
10月に初めてメンバーとして参加してくれたのですが、その時は観光パンフレットをマンガ化しようという話が出ていました。
すると彼女は、次の集まりの時にマンガを書いてくれる人を探し出して、ラフスケッチまで書いて貰い持参してきてくれました。
最初はメンバーからも、パンフレットのマンガ化の実現は非常に困難という声ばかりだったのに、遂に役場へ予算を確約してもらえる段階まできました。
そして次に彼女は、「住民の全世代が共にふれあい、楽しむイベントを、お金を掛けずに定期的に開催する」というコンセプトで、「天塩町フェス」という素晴らしいアイデアを考えました。
彼女が考えたイベントの中身は、お手玉やコマなど「昔あそび」をお年寄りが子供に教える、本屋さんが街に無いので古本の物々交換を行う、地元で獲った鹿肉等グルメを食べてもらう等々、手軽に出来る楽しそうなものばかりです。
そして、更に凄いと思ったのは、「かわまちづくり」とは別に自らメンバーを募り、独自にイベント委員会を立ちあげ、実現の為の話合いを既に始めていたのです。
実はこういった人が出てきてくれた事こそ、「かわまちづくり検討会」1年半で最大の成果だと私は思いました。
先日の検討会では全員で、このテーマを実現するべく話し合いました。
沢山の住民の皆さんから、素晴らしいアイディアが沢山出てきました。
そして沢山の人が賛同してくれて、一緒にやろうと言ってくれました。
日程も3月15日に決定です。
私も実現まで全力でお手伝いします。
この初めの一歩は小さくても、天塩町にとっては偉大な飛躍なのです。
<1月28日追記>
ここで彼女から学ぶべきポイントは、「スピード感」なんだと思います。
所謂「余所者」が移り住んで時間が経てば経つ程、地域の狭いコミュニティとの人間関係が出来、「空気を読む」ようになってしまいます。
色々なステークホルダーの事情や関係性を知ってしまうと言えなくなるのです。
そして、最初に感じた違和感や問題点も、1年経てばその環境に慣らされ「当たり前」になってしまいます。
(逆に云うと、最初から周囲との関係性を求められる、「地域おこし協力隊」が機能しない例がみられるのも理解出来ます)
移り住んでなるべく早い段階、周囲の人間との関係性が強固になる前にアイディアを発信すること。
そうすれば、地元の人間の中からも共感してくれる人が出て、大きなチカラへと変化するのだと思います。
芽が出たら、今度は焦らずゆっくり継続させ醸成させることだと思います。
そして、それをサポートし地元の人と繋げるのが、自治体や我々の仕事だと思うのです。
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