「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは?

 

◆「ホスピタリティ」を理解するには「サービス」との違いを理解すること

 

私は研修でも講演でも最初に「皆さんの考える『ホスピタリティ』『おもてなし』の定義とはなんですか?」と必ず問いかけ考えてもらいます。

 

そうすると答えていただけるのは2割くらいの方のみで、残りの8割くらいの方は「分かりません」と答えます。

しかし人間は言葉にできないものは行動に移せません。まずは間違っていても良いので自分の言葉で語れるようになってくださいとお願いしています。

 

また答えていただける2割の方で、最も多い答えは「心からのサービス」という答えです。

そして、受講者のみならず大手の研修会社や有名講師も、いまだにホスピタリティは「心からのサービスです」と教えています。

 

私はこの「ホスピタリティ=心からのサービス」という考えが、日本のホスピタリティが進化しない要因だと思っています。

 

一つ目に「心からの〜」と言う抽象的なものは、具体的にどんな行動をしたら良いのか分からないのでスキルになり難いのです。

 

二つ目に「サービス」と「ホスピタリティ」が全く反対の概念であるということ。この2つの理由からです。

 

 逆にホスピタリティとサービスの違いを理解すると、ホスピタリティの定義を理解できます

 

 

◆「ホスピタリティ」と「サービス」の語源

 

ホスピタリティとサービスの違いを明確にするには、まず語源を知ると分かりやすいと思います。

 

ホスピタリティの語源を「ホスピタル=病院」と、思いこんでいる方も多いですが違います。

ホスピタルは、後にできた派生語です。ホテルやホスト・ホステスも同じく派生語です。

 

ホスピタリティの語源は旧ラテン語で「hospes=よそ者の保護者、異人歓待」と言う言葉です。

 

この言葉、もともとは「hostis=敵」という言葉でした。「敵」と「客」は同義語と言われています。

実はホスピタリティの起源とは「敵」を歓待することだったのです。

 

歴史は紀元前までさかのぼります。

違う共同体が殺し合いと侵略を繰り返していた時代。

 

A共同体の人間が旅をしていて、本来は敵であるB共同体の家に行き、食事と宿泊の提供を求めました。

 

そして求められたB共同体の主人は、A共同体の旅人を迎えいれます。

当時は客が「私は主人を殺しません」と宣誓し、主人はその宣誓を信じ、招き入れたそうです。

 

そのようにして、本来敵である人間に飲食や宿泊を提供することが「ホスピタリティ」の起源なのです。

ホスピタリティを行うこと=目の前に居る「敵」を歓待するということは、いつ何があるか分からない、常に命がけで行う必要性がありました。

 

しかしそんな大変なホスピタリティの風習は、歴史が変わっても絶えることなく続き、世界中で見られます。それはなぜでしょうか?

 

 理由は、敵と飲食宿泊を共有することで、お互いの異文化・情報交流を促し、新たな技術や文化をもたらし、お互いの繁栄に寄与できたのです。

 

ホスピタリティを行うことが、敵に対して血を流して「戦う」以上のメリットを見いだしたのです。

 

さてサービスの語源ですが、これは知っている方もたくさんいらっしゃるかもしれません。

 

旧ラテン語の「servitus(セルヴィタス)」と言われています。意味は「隷属、奴隷」と言った意味です。

奴隷には、必ず主人がいます。故に上下関係の中で行動し、そして必ず規則があるのです。

奴隷は自由に行動ができません。また奴隷には必ず達成すべきノルマがあります。

 

 この言葉はキリスト教が生まれると「serve=(神に)仕えるもの」(=神事祭事を取り仕切る人 )に変化します。

そして、その神事祭事を行う際の手順書を「manus(マヌス)」呼びました。これはマニュアルの語源です。

これで、なんとなくサービスの輪郭が見えてきましたね。

 

要するにサービスの起源は、「上下関係」と「規則」の中で、「マニュアル通り」に、「ノルマを達成」させることと言えるでしょう。

 

 

◆「ホスピタリティ」と「サービス」は正反対の概念

 

 

これでホスピタリティの概念が、もともと「心からのサービス」ではないことが、お分かりいただけたかと思います。

このように「サービス」と「ホスピタリティ」は、最初から全く違う概念なのです。

 

定義すると以下のようになります。

 

サービスとは「全ての顧客に対し、均一な対応を提供すること」

ホスピタリティとは「目の前にいる相手の状況によって、応対を変化させること」

 

サービスのメリットは一言で言うと「高効率」

 

ある一定満足レベルの対応を、「いつでも」「誰にでも」「均一」に「公平」に「スピーディー」に「たくさん」提供できることです。

 

それに対してホスピタリティは、目の前にいる「あなただけ」に「より最上」を提供します。

 

AさんとBさんが居れば、それぞれ対応が変わるのです。その人だけのニーズを探り、マニュアルを超え、相手がされたら嬉しいと思うことを考え提供します。

 

そして人間の本能として、ホスピタリティが行われると必ずその相手に好意を持ち、ファンになります

結果、生涯顧客の増加に繋がっていくのです。

 

現代の多様な価値観を持つ顧客に対してCS向上を考える時、業種を問わずホスピタリティを企業戦略の一つに加えることが必要なのです。

 

 

詳しくは拙著「おもてなしを売上に変える技術」に詳しく書かれています。

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